料理やお菓子作りの際、「ついでだから」「途中で手を止めたくないから」といった理由で、あらかじめ卵をボウルに割って長時間放置するようなことはありませんか? 卵の割置き、特に溶いた卵の割置きとは、実はとても危険なことなのです。どうして危ないと言われるのか、ひとつ実験をおこなって確認してみましょう。
卵ってどこのスーパーでも売っているし、どんな料理にも使える身近な存在だけど、意外と知られていないことが多いですよね。
たま次郎くんが朝食にお腹いっぱいの卵料理を作ってくれたから、今日はすっかり卵の気分なんです。
パンの日は目玉焼きかオムレツ、ごはんの日は温泉卵か卵かけごはんにすることが多いんですけど、今日は茶碗蒸しの具にうどんを加えた小田巻き蒸しにしてみました。
朝食からそんなに手間をかけるなんて、ずいぶんと早起きですね。
そんなことはありませんよ。だって夜のうちに溶き卵とだしと具を大きな鉢に用意しておいたから、朝は冷蔵庫から出して蒸すだけで済みましたよ。
そのやり方は気になりますね。実はきれいに洗われた卵であっても、ごくわずかに卵殻に細菌が残っていることがあります。野菜や肉も同じことがいえます。それから私たちの手や顔などにもさまざまな細菌が付着しています。もしも食中毒菌が食品に混入し、時間が経つとどうなると思いますか?
卵は栄養豊富な食品なんだけど、それは僕たちにとってだけでなく細菌にとってみても同じことで、食品中で菌が増殖するということでしょうか?
そうですね。卵白に細菌が混入しただけではあまり生育がすすみませんが、卵白と卵黄が混ざった状況では増殖しやすくなります。これは菌の増殖に必要な栄養分が卵黄に存在するためと考えられています。卵が原因食品と推定される食中毒事件の中には、卵が割置きされていたという報告が少なくありません。特に、溶き混ぜた卵の放置は危険ですので、家庭での取り扱いの際には注意しましょう。
万が一、割置きした卵の中に食中毒菌が混入し増殖すると、不十分な加熱の場合に食中毒となり得るし、毒素が発生してしまうと加熱しても失活しない。つまり僕はとても危険なことをしていたんですね。これからは調理する直前に卵を割るよう徹底します。